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Ogni giorno sara` sereno!

Ogni giorno sara` sereno!

フィレンツェの人

イタリアは実は1861年に統一された、国としては非常に若い国である
。ゆえに、国家意識・愛国心がない国とも言われる。
その代わりに、統一前、または歴史をたどれば1つの国家であった地元の町への愛着心が強烈にある。
なので、町ごとに方言はもちろん人々の性格まで特徴が分かれていておもしろい。
イタリア人の話を聞いていると、どこ出身?とか、あぁ、あいつは○○出身だからどうだとか、
というのを頻繁に聞く。

では、フィレンツェの人は、どのように言われているのか?
おそらく、ダントツでOrgoglioso、次にChiuso、Cavaliereといったところか。

Orgogliosoとは、自尊心が高い、悪く言えば高慢、という意味である。
イタリアはどこでも自分の町に誇りを持っているが、フィオレンティーノのそれは、確かに強烈である。
フィレンツェは世界で一番美しい町と言うのももちろん、
私がイタリア人と結婚したと言うと必ず返ってくるのが、フィオレンティーノ?という質問。
フィオレンティーノと言うと、よくやった!見る目があるよアンタは!と大絶賛。
とにかく、フィレンツェ1番!なのである。
そんなフィオレンティーノを、他の町の人は過去の栄光にすがって生きるフィレンツェと馬鹿にする。
フィオレンティーノであるイタリア統一史の教授もフィレンツェは後ろを向いて生きる町、
と皮肉を込めて言っていた。確かに・・・1つ前のコラムにも書いたが、
現在生活をする町としては厳しいフィレンツェ、過去のものを保存する一方で
町の近代化が遅れているのは、こういう気質にも原因があるのかもしれない。

Chiusoとは、閉鎖的な、という意味。Orgogliosoであるゆえに、
ヨソのものには興味がない、冷たいのだ。
ヨソ、というのは外国だけでなく、もちろんフィレンツェ以外の全てに該当する。
ダンナが通っていた日本語のクラスで、現在フィレンツェ在住のルッカ出身の人
(フィレンツェから1時間の町)でさえ同じ事を言うのだ。
観光なら気付く事もないかもしれないが、留学生からはフィレンツェの人って冷たい・・・
知り合いができない・・・という話をよく聞く。
もちろん全ての人がそうではないし、最初が時間がかかっても打ち解ければ別なのだが、
イタリア人というとやたら明るくオープンなイメージがあるだけに、そのギャップが余計ショックなのかもしれない
(私の個人的な意見では、このイメージに一番該当するのはローマの人で、明るく誰にでも寛容、
悪く言えばお調子者とも言えるが・・・)。
そんなフィオレンティーノが、更にChiuso!!と矛先を向けるのがシエナ
(ちなみにここも1時間ほどの距離)。
フィレンツェとシエナはフィンレンツェがシエナを征服、独立、という対立の歴史を繰り返していたのに
起因すると思うが、フィオレンティーノらしくないダンナも、シエナはシエナ人がいなかったら良い町なのに、
とボロクソに言っている。

Cavaliereとは、(中世の)騎士、紳士という意味。私が2年前に日本に長期帰国する時に
ミラノまで有休をとって来てくれたダンナ(当時彼氏)に、ミラノの友人は
「やっぱりフィオレンティーノはCavaliere!うちのなんて、ミラノにいても空港まで来ずに
Ciao~なんて軽いもんよ!」と嘆いていた。
そういえば、ヨーロッパ近代史のチプリアーニ教授は、いつもカフス付のシャツに、
ポケットチーフと合わせたネクタイのスーツ姿(時々辛子色とか強烈な色の時もあったが)で、
まさに歴史から飛び出した紳士という感じで、外国人の私にもきっちりとした丁寧語で超親切だった。
冒頭に国家意識がないと書いたが、強烈な地元意識に比べて薄いだけで、
もちろん他国と比較した場合にはイタリア1番節が炸裂する。
イタリア人女性にイタリア人と結婚したというと、「やっぱウチらの男は世界一よね」という言葉が返ってくるし、
歴史、食べ物、とにかく何に関してもイタリアが1番。
日本人は一般的に謙虚というか、特に欧米に対しては自国を過小評価する傾向があるが、
ここはまさに正反対だ(あくまでも一般論で、うちのダンナのように第3者的に自国を見る人も勿論いる)。
確かにイタリアは偉大な国で、好きだから私もここにいる訳だが、住んでみて日本はスゴイ国だと思う。
だから、盲目的にイタリアを賛美したり、他国の事をケチョンケチョンに言う人には言い返したくなる。
きっと私もイタリア人の自国賛美意識がうつったのかな?
いやいや、日本もイタリアを見習って、もうちょっと自信をもとう!
(まぁ、足して2で割ったくらいがちょうどいい)

2004.7


→ フィレンツェ弁


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